自分を大切にと言われることはあっても、宇宙のためになるよう動きなさいとは初めて言われた。自分と他人という身近な範囲でしか考えることができなかった自身にとって、非常に衝撃的な言葉だったと思う。しかし、説明をよくよく聞いてみるとすんなり納得できることだった。
宇宙のためというのは皆がより良く生きるために行動すること。自身の利益を追求するのではなく、自身も他者も善く生きるための意図と行い。
言葉にすると単純にも見えるが、実際に行動へと移せている人は多くないだろう。
きっと最初は意識するだけでも難しい。
今までの自分は宇宙のためになることができていなかった。
例えば、自身が他者から受けた被害を相手が気付いていないからとの理由で我慢してしまう。
相手を傷つけまいと自身が我慢することで済ませようとしたつもりだが、これは「自分が相手に負の感情をもたれたくない、優しく思われたい」という我儘なのだそうだ。
落ち着いて考えてみるとその通りだった。
指摘しないことで相手は行動の改善をはかることができず、自身も嫌な思いに蓋をしてしまう。誰の得にもならない。
今までの自分の行動は人のためにならないものだと気が付いた時の衝撃は大きかった。
これまでの人生のスタンスを否定されたようなものだと思う。
それなのにカズさんから指摘された時に嫌な気分にならず、当然のことだと受け入れることができる。
それはなぜだろうか。
もし、上記の言葉をカズさん以外の他者に投げかけられたとして、私は受け入れることができず流してしまっていたと思う。そう考えるとカズさんの言葉は不思議だ。
他の人に言われたら不審に思ったり、受け入れ難かったりするような言葉でも心に真っ直ぐ届きやすい。
話しているうちに自分も変われるかもと思うようになる。
彼は、相手が「より良く変わること」を本気で願っている。