これまでそれなりの期間生きてきて、
様々な経験をしてきたにもかかわらず、
自分の幸せの源泉が、
幼いときの自然体験にある、
ということは、一体、どうしたことなのか。
幼いときの方が、はるかに自然を感じ、物事を観じていたのか。
きっとそうだろう。
幼いからこそ、見るのではなく、観ていた。
限定なく観ていた。
ことに相手が自然のときには。
そして観るということが、即、行動につながっていた。
ただ、ただ、一生懸命に成長しようとする精神だけが存在している。
だから、同じ時間であっても今よりもっと、
自然そのもの、生命そのもの、モノそのものと、
深く交流していた。
今は体験そのものの渦中に、記憶や思考、
パタナイズの精神が働いてしまう。
そのようなもののない心情への、憧れ。
それが我々がときおり感じる、
幼い、あるいは若い日々への、憧憬なのだと思う。
