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沢渡和がオーラやチャクラ、チャネリング等 スピリチュアルなこと全般についてお伝えしていきます。

フェルマーの最終定理

実に360年もの間、数字にとりつかれた者やプロの数学者達が、数々のドラマを生み出す元となった「フェルマーの最終定理

この名前を聞いた人は多いでしょう。
映画やドラマでも、そこに天才が登場する場合に良く取り上げられています。


先日行ったファウンデーションセミナーに参加された方に、是非にと薦められ読み始めた本。
サイモン・シン著の『フェルマーの最終定理

この本が各方面から絶賛を受けていたことは知っていたが、「フェルマーの最終定理の証明」には特段の関心がなかったので今まで読まないできた。もったいなかったことだと思う。

探究や思索ということ、各領域への橋渡しとそのためのアイデア創出。かと言って曖昧さに流れないことの重要性など、すべての「考える」という行為について、これほどまでに示唆に富んだものだとは思わなかった。

確かに、あらゆる学問の礎が数学にあるのだから、「考える」ということの基盤も数学にあることは、十分に納得出来ることなのですが。
加えてこの本は、サイモンシンの力量なのだろう。良質の探偵小説を読んでいるかのような気にもなれる。
構成が数学的に美しい。


この定理が完全証明されたのは、1995年5月のこと。
数学者アンドリュー・ワイルズが、8年間、このことしか考えずに生み出したもの。


この本ではじめて知ったのだが、フェルマーの最終定理は、なんと紀元前6世紀の有名なピタゴラスの定理「直角三角形の斜辺の二乗は、他の二辺の二乗の和に等しい」とひとつの鎖でつながっている。
そして、この現代数学の金字塔であるこの証明を理解するには、ピタゴラスから現代に至るあらゆる数学理論に精通することが必要なこと。
また、証明の最後のキーとなっていたのが、かつて2人の日本人が予測した【谷山=志村予想】の証明に懸かっていたこと。

数学の歩みだけでなく、すべての学問の基礎になっているのが数学であるがゆえ、他の学問の変遷(特に天文学や物理学。時には化学)にも興味を持てることでしょう。

数学の核心が証明にあるということも興味深い。

確かに他の学問の理論は、新たな発見によって覆る事実を多々、目にしてきているが、数学に、それはない。

著者サイモン・シンは次のように書いている。

「証明こそは、数学と科学の他の分野とをきっぱり分かつものなのだ。数学以外の科学分野ではまず仮説を立て、実験によってそれを検証する。そして仮説の誤りが示されれば、別の仮説がそれに取って代わる。しかし数学においては、完全な証明こそがゴールである。一度証明されるということは、永久に証明されることなのだ」

「真理」という言葉は数学のためにあるのかもしれません。

たとえば上記ピタゴラスの定理をとってみても、それは無限個ある直角3角形において、たったひとつの矛盾もなく成り立つことを証明しなくてはならないのですから。100億個の直角三角形において正しいことが検証されても、100億1個目が成り立つとは言えないのだから。
だから、数学的証明が必要となる。価値を持つ。


数学の証明では、常にその対象が「無限」と「永遠」なのです。

冷静に考えれば、これは凄いことですよね。

ゲーデル不完全性定理だけでなく、数学的帰納法背理法という考え方の意味と価値も分かりやすく理解出来ます。

アンドリュー・ワイルズの言葉も面白い。

「大事なのは、どれだけ考え抜けるかです。・・・(中略)とくに、袋小路に入り込んでしまったり、未解決の問題にぶつかったりしたときには、定石になったような考え方は何の役にも立たないのです」

「説明する相手が数学者だったとしても、その人は(実際には100ページに及ぶ)原稿のその(ほんの数行のいち)部分(のみ)を(理解するためには)二、三ヶ月かけて詳しく勉強しなければならないでしょう」

「新しいアイディアにたどりつくためには、長時間とてつもない集中力で問題に向かわなければならない。その問題以外のことを考えてはならない。ただそれだけを考えるのです。それから集中を解く。すると、ふっとリラックスした時間が訪れます。そのとき潜在意識が働いて、新しい洞察が得られるのです」



すべての「考える」ということに興味のある人に読んでもらいたい。
文系にも理系にも、数学を勉強している人にも数学嫌いな人にだって、ストーリーは楽しめると思います。

この証明のための本当のキーとなった予想を提出し、この予想を正と前提とすることでその後の数学界は様々に発展していった。その大元となった【谷山=志村予想】の志村氏はこのように言っている。

「私は良さの哲学というものを持っています。それは数学はその内に良さを備えていなければならないということです。(中略)この予想は、良さの哲学から芽生えたものと言ってさしつかえありません。たいていの数学者は、自分の美意識に照らして数学をやっているものです。そして良さの哲学は、私の美意識から生まれたものなのです」



これと同じようなことを、日本のもう一人の天才数学者、岡潔小林秀雄との対談のなかで言っています。
この本も上記の本と同じくらいに「考える」ことの示唆に富んでいます。お薦めします。


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